2020.6.30 12:12

【サッカーコラム】5枚の交代枠をどう生かす? 公式戦で使いこなす難しさ

【サッカーコラム】

5枚の交代枠をどう生かす? 公式戦で使いこなす難しさ

特集:
No Ball, No Life

 【No Ball、 No Life】先週末(27日、28日)にJ2が再開し、J3はようやく開幕を迎えた。1週間遅れて、今週末にはJ1も再開となる。ただ、数節はリモートマッチ(無観客試合)となり、サポーターの日常にサッカーが戻ってくるのはもう少し先となる。

 また、コロナウイルスの影響を受けて、最終順位の決定方法などJリーグ規約規定の多くが変更されている。なかでも注目したいのが、交代枠の変更である。1試合合計3回以内(ハーフタイムを除く)と回数は同じだが、これまで3人以内だったのが5人以内に増加されている。過密日程による選手たちの疲労などを考慮したもので、これによって監督の選択肢が増え、より多くの選手がピッチに立つ機会が増えそうである。

 27日の15時開始だったJ3の岩手-秋田では、さっそく両チームがフルに交代枠を使い切っている。特徴的だったのは岩手の最初の交代で、40分という早い時間帯に行われた。これについて秋田豊監督は「2失点していたので、最初の交代は流れを変えるためにも思い切って代えた。5名の交代枠があると、早い段階で代えるぶんには良いと思う。ただ、今日はそれ(交代枠どうの)以上にリズムが取れなかった」と試合後に語っている。

 一方、この試合に4-0で勝利した秋田も後半になって2度の2枚替えを含む3回の交代を行い、“枠”を使い切っている。「チームの強度を下げないためにも、全員使う準備をしていた」と振り返ったのは吉田謙監督である。追いかける岩手に、反撃されたくない秋田。試合展開に応じて、両監督が新たな交代枠のなかで必要な策を講じた一戦だった。

 無論、レギュレーションは変更されたが、5枚のカードを切らずに終わった試合もいくつかある。そのひとつが3-3に終わったJ2の甲府-新潟で、新潟のアルベルト監督は2枚の交代枠を残している。「(選手交代は)試合展開で決める。コンディションや戦術に応じて、必要ならより多くの選手を交代する。今日は5枠を使うには至らなかった」(アルベルト監督)という理由からだった。

 たとえば、5枚の交代枠をすべてフィールドプレーヤーに使うと、半数が入れ替わることになる。フレッシュな足を持つ選手を投入できるというメリットはあるが、チーム全体のバランスなどを考えるとたしかに難しい判断になる。僅差の攻防になればなるほど、長いシーズンを見据えた余裕ある交代などはできなくなってくる。

 疲労した選手を休ませ、より多くの選手に出場機会を与えるという意味では、交代枠の増加は間違いなくプラスに働く。ただ、緊迫した試合展開のなかで、フィールドプレーヤーを次々に交代するのは勇気がいる。ハーフタイムを除いて3回以内の交代しか認められていないので、5枚を代えるなら必然としてどこかで2枚替えしなければならない。

 確実に選択肢は広がったが、いざ公式戦で使いこなすとなると難しい一面がある。交代枠の増加を受けて、各監督がどのような選択をみせるのか? レギュレーション変更によって、ひとつ楽しみが増えたといえる。(フリーランスライター・飯塚健司)