2021.1.13 16:03

【ラグビーコラム】魅惑のオフロードパス 23年フランスW杯、日本BKの核はフィフィタだ

【ラグビーコラム】

魅惑のオフロードパス 23年フランスW杯、日本BKの核はフィフィタだ

優勝Tシャツを着て、スタンドの声援に応える天理大のシオサイア・フィフィタ=11日、国立競技場(代表撮影)

優勝Tシャツを着て、スタンドの声援に応える天理大のシオサイア・フィフィタ=11日、国立競技場(代表撮影)【拡大】

 【ノーサイドの精神】全国大学選手権は関西リーグ5連覇の天理大が早大を圧倒し、悲願の初優勝を遂げた。黒衣軍団の中心選手の1人が、CTBシオサイア・フィフィタだ。

 187センチ、105キロのサイズで、50メートルを6秒2で走る。「大学で最も、強くて速いCTB」といわれるミッドフィールドの核。早大相手に天理大が奪った8トライにフィフィタ自身のトライこそなかったが、パスや突進で4トライにつなげる活躍を見せた。

 昨年はスーパーラグビー最後のシーズンに参戦するサンウルブズにも参加。6試合にWTB、CTBとして出場し2トライ。開幕のレベルズ(オーストラリア)戦勝利などで、しっかり足跡を残した。南半球の屈強な男たちを相手に、タックルをはねのけて前に出るシーンを繰り返した。

 「毎回試合に出られれば日本代表も近づく」

 そんな言葉でフィフィタが燃えていたスーパーラグビーは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大で開幕1カ月半で中止になってしまったが、続いていればフィフィタはもっと世界の注目を集めたはずだ。

 彼のプレーで最も魅力的なのが、相手につかまった状態でパスをつなぐオフロードパスだ。サンケイスポーツのラグビー評論でおなじみ元日本代表WTBの吉田義人氏は「大学生相手なら、3人につかまっても精度の高いパスを出せる。防御が発達した現代ラグビーでトライを取るためには、オフロードパスは不可欠で、インターナショナルレベルでもフィフィタのプレーは通用する」と評価する。

 こうなると、本人の希望通り日本代表入りも近いだろう。敵の多いところで接触プレーをしなければならないCTBにとって、ボールキープ力は必要不可欠だが、フィフィタは余裕をもってこなせる。スピードも備え、ボールを持ってぶち当たるだけでなく周囲を使える広い視野も持つ。インターナショナルでも核になり得る選手だ。

 8強入りした2019年W杯で、日本の主力CTBは中村亮土(サントリー)とラファエレ・ティモシー(神戸製鋼)。2人とも2年半後のW杯本番では30歳を超える。フィフィタはまだ24歳。若い力の台頭を期待したくなる。

田中浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の60歳。