2021.4.8 05:00

【甘口辛口】現実味を帯びてきた「北京五輪ボイコット」 五輪そのものが限界にきているようにもみえる

【甘口辛口】

現実味を帯びてきた「北京五輪ボイコット」 五輪そのものが限界にきているようにもみえる

国立競技場前に飾られた五輪マーク

国立競技場前に飾られた五輪マーク【拡大】

 ■4月8日 北朝鮮が今夏の東京五輪の不参加を決めた。理由は「新型コロナウイルスによる世界的な保健上の危機的状況から選手を守るため」。いまの状況下では真っ当な理由だが、それだけなら他国の動向を見極めてからでも遅くない。いの一番の不参加決定には外からではうかがい知れない特別な事情があるらしい。

 1964年の東京五輪では北朝鮮は選手団を送ってきたが、開会式の2日前に全員帰国した。IOCから資格停止処分を受けた一部の陸上選手が含まれ、資格回復を迫ったが認められなかったためだ。五輪ボイコット騒動の先駆けになる、そんな前歴があるだけに、早く決めてくれてむしろホッとする。

 それよりも現実味を帯びてきた「北京五輪ボイコット」の方がはるかに大ごとだ。米国務省のプライス報道官が記者会見で、来年北京五輪を開く中国の人権侵害や新疆ウイグル自治区での「ジェノサイド」(民族大量虐殺)を批判。同盟国などとの共同ボイコットについて「私たちが議論したいことだ」との方針を明らかにした。

 80年モスクワ五輪は旧ソ連のアフガン侵攻に抗議して米国がボイコットを呼びかけ、日本など60カ国が同調。悲惨なまでの骨抜き五輪だった。少数民族ウイグル族への拷問やレイプなど収容されていた女性の証言を聞く限り、北京五輪も「平和の祭典」のイメージとかけ離れている。

 五輪憲章には「五輪は選手間の競争で国家間の競争ではない」と明記している。原点が忘れ去られ国の争いになったから、ボイコットもつきまとう。選手間の競争なら各競技ごとの世界選手権で十分との声も聞かれ、世界中が一堂に会する五輪そのものが限界にきているようにもみえる。(今村忠)