2021.1.12 12:00

【球界ここだけの話(2203)】痛み止め注射10本で引退試合に、西武・高橋氏は球団から引退を慰留されていた

【球界ここだけの話(2203)】

痛み止め注射10本で引退試合に、西武・高橋氏は球団から引退を慰留されていた

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
移籍・退団・引退
西武の守護神として活躍した高橋氏 

西武の守護神として活躍した高橋氏 【拡大】

 西武・高橋朋己氏(32)が昨季限りで現役を引退し、球団職員として新たなスタートを切った。

 社会人野球・西濃運輸から2013年ドラフト4位で入団。2年目から守護神に抜擢(ばってき)され、14年には29セーブ、15年には開幕から4試合連続セーブのプロ野球記録を樹立するなど22セーブを挙げた。

 16年以降はけがに泣き、同年7月に左肘のトミー・ジョン手術(内側側副靱帯再建術)を受け、18年には左肩痛を発症。19、20年は育成契約選手として復活を目指したが、支配下登録復帰はかなわなかった。

 昨年10月のイースタン・リーグの巨人戦(カーミニークフィールド)で引退試合に臨んだが、実は6月の時点で球団に引退を申し出ていたという。

 「6月(19日の開幕前)に左肩を肉離れして、もう無理だなと。球団に『引退させてください』とお願いしたんです。ここ2、3年は肉離れをおこしては治っての繰り返し。箇所? 数えきれないです。左肩周りのあらゆる筋肉をやったんじゃないかな」

 実戦どころか支配下への復帰も絶望的。このままオフの戦力外通告を待つよりも、自ら身を引くことを選んだ。だが、球団から「まだ開幕していないだろ。あきらめるな」と想定外の慰留。高橋氏は「後半戦の戦力として、復活するんだと思ってくれているのがうれしかった」と、再びリハビリへと気持ちが向いた。

 結果として復帰はかなわなかったが、迎えた引退試合には「試合の前々日に痛み止めの注射を10本うちました。当日も座薬を入れて」臨んだ。それでも左肩の激痛は消えなかったが、駆け付けた1軍の仲間も見守るなか、相手打者への初球、全身全霊の106キロで遊飛に仕留めた。

 「1球で終わって良かったです。肩、めちゃめちゃ痛かったので。2、3球投げていたら、たぶんキャッチャーに届いていなかったですよ」

 笑いながら振り返った。今年から小、中学生対象のスクール、ライオンズアカデミーのコーチとして第2の人生を歩み始めた。「自分は試合で投げていないのに最後はあんな形でやらせてくれて、球団には感謝しかないです」。自らの経験を生かし、少年に野球の楽しさを全力で伝えていく。(湯浅大)