2020.11.20 12:00

【球界ここだけの話(2152)】「栄冠は君に輝くという気持ちで」巨人・原監督が贈るはなむけの言葉

【球界ここだけの話(2152)】

「栄冠は君に輝くという気持ちで」巨人・原監督が贈るはなむけの言葉

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サンスポ記者の球界ここだけの話
巨人・原監督

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 出会いと別れの季節といえば一般的には春をイメージするが、球界では秋にそれはやってくる。ドラフトで指名され、期待に胸を膨らませる新人がいる一方で、構想外となって球団を去る選手も大勢いる。引退試合が開催され、指導者として残れるのは一握り。大半は、志半ばで野球人生を終える。

 それでも「決して悲しいニュースではない」と話すのは、巨人・原辰徳監督(62)だ。「3、4年で去る人もいる。平均すると5、6年だな。でも、恥ずかしいことでもなんでもない」と説く。

 この時期はファンも一喜一憂する季節。ただ、選手は球界を去っても人生が終わるわけではない。むしろ、それは新たな門出となる。「『よし、また血が煮えたぎるほどの仕事、生き方を見つけよう』というのが大事。前途洋々たれ、と。“栄冠は君に輝く”という気持ちで次のスタートを切ってほしい」と高校野球の名曲を引き合いに出して力説する。

 自身はプロ入りから丸40年が経過。酸いも甘いも経験してきたからこそ、選手の大変さは理解している。「一番しんどいのは選手ですよ。一年一年が勝負。『何とか(活躍してほしい)』と思っても、サポートしかできない」と口にする。

 プロ野球選手は夢追い人-が持論だ。近年は選手の出場機会を考えたトレードも増え、9月に田中貴也が楽天へ移籍した際には「使いたい戦力ではあったけど、貴也には大チャンス」とエールを送った。

 戦力外となった宮国は現役続行の意志が強く退団を選んだが、球団は複数のポストを用意して打診していた。「いろいろ話をしたけど、彼が自分で選んだことだから」と理解を示すが、先々まで考えをめぐらせるのは親心に他ならない。

 ちなみに、1948年に高校野球選手権の大会歌となった『栄冠は君に輝く』を作詞した加賀大介は、16歳の時に野球の試合中に負ったけがが原因で右脚を失い、野球の道を断念。その後、文筆家として70年以上も歌い継がれる名曲を世に残した。

 どんな場面でも栄冠に輝くチャンスがある-。それが原監督のはなむけの言葉なのだ。(伊藤昇)