2020.11.19 12:00

【球界ここだけの話(2151)】勇退するDeNAの名スカウトが振り返る「頭の片隅にあった」こと

【球界ここだけの話(2151)】

勇退するDeNAの名スカウトが振り返る「頭の片隅にあった」こと

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
DeNAからドラフト3位指名を受け、笑顔で投球のポーズをする横浜の松本隆之介投手

DeNAからドラフト3位指名を受け、笑顔で投球のポーズをする横浜の松本隆之介投手【拡大】

 独自のドラフト戦略で近年の成功例が話題となるDeNA。その中心を担ってきたのが、スカウト部長やGM補佐などを歴任した吉田孝司顧問兼球団代表補佐(74)だ。

 現役時代は巨人の捕手として活躍。2012年からDeNAに加わり、高田繁ゼネラルマネジャー(GM、当時)とともに、編成に心血を注いできた。18年の高田GM退任後も戦力アップに尽力。その吉田顧問も今季限りで勇退する。

 吉田顧問にとって今年が最後のドラフト会議となったが、終了後に「あ、そうだ。地元だったな」と気づいたのが3位指名した左腕、松本隆之介投手(横浜高)だった。本拠地を横浜に置く球団だけに“横浜色”の濃い同校から高卒で入団した選手に対し、ファンは愛着を抱く。今季限りで退団する石川、米大リーグに移籍した筒香が最たる例だ。

 球団としては出身校にこだわらず、必要な戦力を指名していく方針で“横浜高枠”などない。ただ吉田顧問は「(在籍した)9年間、地元から取れていないというのは頭の片隅にあった」と語る。「こればかりは仕方がない。(2位からは)ウエーバー順で取られてしまうこともあったから」と自らに言い聞かせていた。横浜高から高卒でのDeNA入団となれば、松本は11年秋のドラフトでの乙坂(5位)以来となる。

 新型コロナの影響もあり、吉田顧問が今年の実戦で投げる松本を見ることができたのは、4月の練習試合の1度だけだった。「素晴らしい投球で、2年生のときから成長していた。帰り際にはわざわざ僕の車まであいさつに来てくれたのを彼も覚えていて…。縁があったね」。うれしそうに振り返った。

 松本の魅力は188センチの長身から投げ込まれる力強い直球だ。吉田顧問は言う。「やっぱり速い直球を投げられるのは強み。われわれが見るのは真っすぐだよ。変化球もコントロールもプロに入ってからでも覚えられるから。大事なことは習得でなく体得すること。投げて体で覚えるんだよ。練習せずにうまくなるのは無理」。長いスカウト人生で“体得”した投手眼を明かしてくれた。

 吉田顧問にとって最初で最後の横浜高からの生え抜き選手となる松本。2、3年後にサウスポー王国の一角に割って入っているのか、楽しみにしたい。(湯浅大)