2017.12.1 13:00

【球界ここだけの話(1106)】最も政治家に恐れられた男の素顔 どこまでも野球好きなコミッショナーが退任

【球界ここだけの話(1106)】

最も政治家に恐れられた男の素顔 どこまでも野球好きなコミッショナーが退任

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
今年2月、熊崎勝彦コミッショナー(左)は阪神の春季キャンプを訪れ、藤浪と握手

今年2月、熊崎勝彦コミッショナー(左)は阪神の春季キャンプを訪れ、藤浪と握手【拡大】

 日本野球機構(NPB)の熊崎勝彦前コミッショナーが、2期4年の任期を終えて退任した。統一球問題で辞任した前任の加藤良三氏のあとを継ぎ、野球賭博という球界を揺るがす大問題にも対処した。もしも法曹界出身の熊崎氏でなかったら、果たして乗り越えられただろうかと改めて思う。

 なにしろ泣く子も黙る元東京地検特捜部長である。“落としの熊崎”である。イメージはいかめしい。笑っていても目つきは鋭い。だが、これほどフランクに報道陣と接したコミッショナーを知らない。

 ふらりとプレスルームに顔を出し、「きのうの試合はすごかったな」と野球談議に花を咲かせる。「君たちの先輩ともずいぶん渡り合ってきたからな、俺は」。金丸信元自民党副総裁逮捕など、政治家に最も恐れられた検事として毎日のように記者の夜討ち朝駆けに対応してきたから野球担当記者など、ちょろいものかもしれない。経験上、家に上げてくれて話をしてくれるタイプの検事や刑事は最もネタが取りづらい。

 だから、熊崎コミッショナーから情報が漏れたことはない。そのあたりの線の引き方はさすがだなと感じた。

 ただ時折、「立場上、特定の球団を言っちゃいかんのだが中日にはもう少し頑張ってほしいよ」と、岐阜県出身者の本音がのぞくあたりは人間くさい。退任会見では、悔しかったことを「プレミア12で優勝を逃したこと、ワールド・ベースボールクラシックで小雨の中で応援したが紙一重で負けたこと」と振り返った。どこまでも野球が好きな人なのだと思う。本当はコミッショナーとして東京五輪も迎えたかったのではないか…とも。

 退任の日、NPB事務局入り口の看板の前はにわかに撮影会になった。事務局員に続いて、「君らとも一緒に撮らなくちゃな」とプレスルームにも声がかかった。熊崎氏の前任者2人も担当してきたが、こんな光景はなかった。

 「少しゆっくりできるかな、ガハハッ」と最後も豪快に笑いながら職場を後にした。在任期間中から「君らと酒でも飲みながらナイター観戦をしたいな」と語っていたが、ようやく実現できるかもしれない。(芳賀宏)

  • 9月に開かれたオーナー会議終了後、報道陣からの質問に答える熊崎コミッショナー(左)。右は日本ハム・末沢オーナー
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